船体データ(2)




装甲・外殻

 外宇宙都市船の装甲及び外殻は、デブリの衝突による被害と宇宙線への対策を念頭に置き設計が行われ、外側から順に複合装甲、金属殻、各種配管及び保守整備用作業スペースという構成になっている。
 基本的な装甲材にはFVBから技術協力を得て、かの国の宇宙艦船で広く利用されている耐衝撃装甲と耐熱反射装甲からなる複合装甲を採用する事で宇宙塵への対策とすると共に大気圏突入時の摩擦熱にも耐えうる仕様となっている。
 また、宇宙線に対しては単純に複合装甲の内側の金属殻(主に鋼鉄からなる合金)を2m前後と従来の宇宙艦船の物より分厚くすることで、これと都市船内の空気層によって地上にいるのと変わらないレベルまで宇宙線をカットしている。

 装甲は規格統一されたユニットに細分されパーツ構成が組まれており、宇宙塵の衝突等による装甲の損害に対してはユニットごとの交換によって対処を行っている。
 交換された使用済みのユニットは都市船内で再資源化される他、付随する藩国船からの補給を得る事で新たな装甲材として再生産されている。
 なお、これら装甲についてはFVBから、同国で開発された装甲材であるアストラーダ合金の提供を受けるなど技術的、物資的に多大な助力を得ている。深く感謝するとともに、その恩義を忘れぬようここに記すものである。


防衛用装備

・大口径レーザー砲 1基 ・パルスレーザー砲 4基  外宇宙都市船に接近、あるいは衝突する可能性のあるデブリやその他の物体を事前に破砕し、都市船本体への深刻なダメージを回避することを主目的として設置された装備である。各種観測機器とデータリンクが行われており、威力よりも命中精度を高める様調整が図られている。基本的に戦闘行動に用いることは想定されておらず、都市船の防衛は各種宇宙艦船、I=Dが担う事になる。


探知機器・電子戦装備

 長距離・長期間の航行を前提として設計された外宇宙都市船にはレーザーレーダーをはじめ各種光学機器、電波観測機器など各種観測機器が搭載されており、都市船に接近する可能性のある物体を事前に察知できるようになっている他、外部からのクラッキングへの対策として、大規模な電子戦装備を含むセキュリティシステムが組まれている。


大気圏突入機能について

 外宇宙都市船は航行の過程でテラ以外に生命の生存可能な惑星を発見した場合、着陸が可能であるよう大気圏突入機能を備えている。
 もちろんそれはテラへの帰還に際して都市船本体の大気圏突入が必要であると判断された場合にも適用される。
 なお、大気圏突入に際しては、着陸先が低重力惑星、あるいは海、湖など着陸に適した地形が存在することが必要である。
 大気圏突入時は、デッキプレートのエンジンブロック側を蝶番のようにしてデッキプレートを重力方向と垂直になるよう展開する。この際、メインシャフトの都市船先端側から多層カーボンナノチューブ製のワイヤーを束ねた吊り綱をメインケーブルとして斜めに伸ばす。
 そこから重力方向に同素材製のハンガーケーブルを何本も垂らし、メインシャフトを主塔として、デッキプレートを吊り下げ、固定する。こうして花が開いたような形態で逆噴射をかけ、そのまま地上に降下・着陸する。

 都市船の各種ブースターは着陸時の姿勢制御のため可動式になっている他、デッキプレート面の基部には着陸時を想定し、高層建築物の耐震装置を応用した衝撃緩和装置が組み込まれている。
 また、乗員は各居住施設及びその他の施設内に設置されている緊急時用の固定シートに着席し、衝撃に備えるほか、デッキプレート上にあって、例えばエアバイクのようなデッキプレートから分離している物や動物類はデッキプレート上に固定する、あるいは安全な場所に収納される。

 大気圏突入を行うメリットとしては都市船の都市機能が着陸後も利用可能であるため、人口1000万人級の都市としてそのまま運営してゆく事が可能であり、必要に応じて外部へ都市面積を拡大する事によって人口増加にも対応が可能であるという点が挙げられる。
 ただしその巨大さゆえに一度大気圏突入を行い着陸した後は再び離陸する事が出来ないため、テラへの帰還を行う場合には各藩国が住人の帰還後すぐに生活を再開できる状態であり、かつ宇宙ステーションやコスモス2への寄港が可能であるならば、そこで乗員を下船させ各藩国に帰還してもらい、都市船本体は軌道上で待機させることが望ましい。

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製作:満天星国